京都駅で飲めるRock Song Oh! Breweryの自社醸造クラフトビール。その一杯は、京都駅西方の新幹線高架下にある醸造所で造られています。
京都のいちばんち編集部は2026年8月19日(水)、醸造所を取材。ビール造りの現場を案内してもらいました。
ビール造りは未経験からのスタート。毎日の洗浄や細かな温度管理、熟成を重ねながら、京都駅で提供する一杯を造っています。
今回は提供直前のヴァイツェンや熟成途中のHazy IPAも味わいながら、その背景を聞きました。
Rock Song Oh! BreweryはJR東海グループ初の自社醸造所

Rock Song Oh! Breweryを運営するのは、JR東海グループのジェイアール東海関西開発です。
クラフトビール事業が始まるきっかけの一つとなったのが、コロナ禍でした。新幹線の利用が大きく減るなか、新幹線以外にも新たな事業をつくろうと始まった取り組みの一つがクラフトビールだったといいます。

2026年1月、JR京都駅のASTY京都にクラフトビール専門店Rock Song Oh! Breweryをオープン。当初は、社員が考案したレシピをもとに、外部の醸造所で造ったクラフトビールを提供していました。
その後、2026年6月には京都駅西方の新幹線高架下で、JR東海グループ初となる自社醸造所が稼働。7月には、ここで造ったファーストバッチ「Hazy IPA」の店舗提供も始まりました。
醸造所では年間最大約60キロリットルを生産する計画で、自社醸造の定番6種類に加え、限定ビールも順次醸造する予定です。
ビール造り未経験のメンバーが一からスタート
Rock Song Oh! Breweryのクラフトビール造りは、経験者を集めて始まったものではありません。立ち上げメンバーは、まず一からビール造りを学ぶところからスタートしたといいます。
海外の造り手が公開している動画なども参考にしながら、仕込みを重ね、少しずつ技術を身につけてきました。
取材では、「クラフトは職人の世界で、マニュアル化できる環境にない」という話も。麦芽やホップ、酵母の特徴を知り、実際に造りながら調整していく。醸造所では今も、試行錯誤が続いています。
Rock Song Oh! Breweryで「一番大事」なのは毎日の掃除

取材中、何度も聞いたのが「掃除が一番大事です」という言葉でした。
仕込みが終われば洗浄。また次のビールを造れば洗浄。タンクや機器だけでなく、店舗のタップにつなぐケグも丁寧に洗います。
取材当日は、ヴァイツェンを店舗へ送るためのケグ詰め作業が行われていました。ケグは専用機器で洗浄したあと、二酸化炭素を充填。酸素との接触を抑えた状態でビールを詰めていきます。酸化による品質の変化を防ぐための作業です。
「掃除ばっかり、というわけではないけれど、めちゃめちゃ大変」。店舗でグラスに注がれた一杯からは見えませんが、その味を届けるために地道な作業が繰り返されていました。
提供直前のヴァイツェンを試飲 味を支える造り手のこだわり

この日、ケグ詰めされていたのはヴァイツェン。取材した週の金曜日から、京都駅の店舗で提供する予定の一杯です。特別に、タンクから出たばかりの状態を試飲させてもらいました。
まず印象に残ったのが、クリーミーな泡。口元へ近づけると、バナナを思わせる香りがはっきりと感じられます。飲んでみても、まろやかな味わいの中に同じような風味が広がりました。
この特徴的な香りは果物を加えたものではなく、酵母の働きなどによって生まれるもの。Rock Song Oh! Breweryでも、小麦や酵母を使い、仕込み時の温度などを調整しながら、目指す香りや味わいに近づけています。
口当たりを出すために乳糖を加える方法をとらず、小麦や残糖を生かすのも、Rock Song Oh! Breweryのこだわりです。
ただ、小麦を多く使うと、工程の途中で目詰まりするリスクも高まるといいます。それでも、目指す味をつくるために手間のかかる方法を選んでいます。
熟成途中のHazy IPAも試飲 完成まで味は変わっていく

もう一つ、特別に味わわせてもらったのが熟成途中のHazy IPAです。グラスを近づけると、パッションフルーツなどを思わせる華やかな香り。ただし、この時点ではまだ完成ではありません。さらに熟成が進むことで、ホップの香りや味わいにも広がりが出てくるといいます。

Rock Song Oh! Breweryでは、複数のホップを組み合わせて香りをつくっています。柑橘系だけでなく、熟したメロンや桃、白ブドウを思わせるものまで、ホップによって香りはさまざまです。中には、大阪で飲んだ一杯にひかれ、使われているホップを調べて仕入れにつなげたものもあるそうです。
ホップを入れるタイミングも、目指す香りに合わせて調整します。原料を選ぶだけではなく、いつ入れるか、どのくらい熟成させるか。そうした細かな判断の積み重ねが、一杯の味につながっています。
麦芽から温度まで 一杯の味をつくる細かな判断


取材では、ビールの原料となる麦芽も実際に試食させてもらいました。
見せてもらったのは、英国産の「マリスオッター・エールモルト」や「クリスタル150モルト」など。実際に口にすると、香ばしさや甘みなど、それぞれに違いを感じます。麦芽はそのままでも、ビールのおつまみになりそうなほど。中でも「クリスタル150モルト」は、キャラメルを思わせる香ばしさと甘みが印象的でした。
こうした麦芽の選び方もビールの味を左右する要素の一つ。ホップや酵母だけでなく、使う麦芽を組み合わせながら目指す味をつくっていきます。
さらに醸造所では、ビールの状態を感覚だけで判断しているわけではありません。発酵や熟成に合わせて温度を管理し、比重なども測定します。

仕込みを始めた当初は、冷却一つをとっても思い通りにはいかなかったそうです。熱交換器を使っても狙った温度にならず、何度も試しながら調整方法を身につけてきました。

比重計などの機器を使い、発酵の状態を数値でも確かめていきます。
経験を積みながら、自分の感覚と数値の両方で状態を確かめる。未経験から始めたチームが、一杯ずつ経験を重ねている様子が伝わってきました。
京都駅で造ったクラフトビールを京都駅で味わう

醸造の話をすべて知らなくても、もちろんビールは楽しめます。ただ、京都駅で何気なく注文する一杯の向こう側には、こうした仕事があります。
原料を選び、仕込み、発酵と熟成を待つ。状態を確認しながら温度を調整し、設備やケグを洗う。そうして完成したクラフトビールを、醸造所と同じ京都駅エリアで飲めることがRock Song Oh! Breweryの面白さです。
醸造所があるのは、京都駅西方の高架下。店名の由来にもなった六孫王神社にほど近い一帯です(名前の由来は京都駅「Rock Song Oh! Brewery」実飲レポで紹介しています)。

自社醸造ビールは、JR京都駅のASTY京都にある直営店舗で提供されています。店舗はJR東海新幹線八条口改札のすぐそば。営業時間は9時から21時までで、年中無休です。京都に着いてからの一杯にも、観光や仕事を終えて新幹線に乗る前の一杯にも利用できます。
以前、京都のいちばんち編集部が店舗を訪れた様子やメニューは、京都駅「Rock Song Oh! Brewery」実飲レポで詳しく紹介しています。
瓶ビールも展開 その先に新幹線で楽しめる未来も?

Rock Song Oh! Breweryでは、店舗のタップで提供するだけでなく、瓶ビールとしての展開も進んでいます。醸造所には瓶詰め用の設備もありました。

取材では、JR東海グループだからこそ考えられる将来の展望にも話が及びました。その一つとして挙がったのが、新幹線での提供です。
現時点で決定しているものではありません。それでも、京都で造ったクラフトビールを、いつか新幹線の中でも楽しめるようになるかもしれません。
京都駅で造り、京都駅で飲む。そこから鉄道を通じてさらに先へ広がっていくのか。始まったばかりのブルワリーだけに、これからにも注目です。
Rock Song Oh! Breweryの店舗情報
- 店舗名:Rock Song Oh! Brewery
- オープン日:2026年1月15日(木)
- 場所:ASTY京都 1階西エリア・ASTY ROAD
- アクセス:JR東海新幹線 八条口改札すぐ
- 営業時間:9:00〜21:00
- 定休日:無休
- 電話番号:075-585-8201
- クラフトビール:約10種類
- 価格:1,200円〜1,500円(税込)
- 公式サイト:Rock Song Oh! Brewery|ASTY京都
※2026年8月24日時点の情報です。

※本記事は編集部が実際に訪れて取材・体験した内容をもとに、公式発表の情報を加えて構成しています。最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください。
編集・文・写真:京都のいちばんち

