京都モダン建築祭2026はどこを見る?前期・後期の注目建築

京都モダン建築祭2026で公開される宮川町歌舞練場
2025年に竣工した宮川町歌舞練場(画像提供:京都モダン建築祭実行委員会/©︎Masaki Hamada(kkpo))

京都モダン建築祭2026が、10月31日(土)から11月8日(日)まで開催されます。

パスポート公開は、前期と後期の計4日間。対象となる建築は61件あります。

これだけあると、悩むのが「どこを見るか」。

大正期の銭湯、花街の歌舞練場、大学の礼拝堂、寺院の地下に広がる現代建築。ひと口にモダン建築といっても、年代も用途もさまざまです。

今回は、建築に詳しくなくても違いを見つけやすい場所を中心に、前期・後期の注目建築を紹介します。

パスポートの料金や購入方法は、京都モダン建築祭2026の開催概要記事をご覧ください。

目次

京都モダン建築祭とは?普段とは違う視点で京都を歩く

京都モダン建築祭は、京都に残るモダン建築を一斉公開するプロジェクトです。

2022年、文化庁の京都移転記念事業として始まりました。初年度の参加建築は36件。その後、2023年は79件、2024年は102件、2025年は129件と規模を広げ、5周年となる2026年は約150件が参加予定です。

このうち、共通のパスポートで見学できるのが「パスポート公開」。2026年は、前期32件、後期29件の計61件が対象です。

学校、教会、劇場、銭湯、企業施設など、今も使われている建物が多いのも特徴。普段は入れない内部や、自由に見学できない空間にも足を踏み入れられます。

建築に詳しくなくても、好きなものから選べばいい

建築家の名前や建築様式が分からなくても、心配はいりません。

タイルが好きなら船岡温泉や先斗町歌舞練場。舞台や花街に興味があれば、先斗町と宮川町の歌舞練場。和館と洋館を一度に見たいなら、櫻谷文庫が候補です。

外観と内部の印象の違い、窓から入る光、階段や天井の形。気になる部分を一つ見つけるだけでも、建物を見る時間が変わります。

まずは、どんな場所に入ってみたいか。そこから選んでみましょう。

前期|10月31日・11月1日の注目建築

前期は、西陣、御所周辺、中京、京都駅・七条など、広いエリアに建築が点在します。

10月31日だけ公開される船岡温泉や同志社女子大学、11月1日だけの先斗町歌舞練場など、日付が限られる建築から予定を組むと動きやすくなります。

船岡温泉|銭湯でマジョリカタイルと格天井を見る

船岡温泉の浴場に残るタイルや建築装飾
船岡温泉。浴場として使われている空間の装飾にも注目したい建築です(画像提供:京都モダン建築祭実行委員会)

まず注目したいのが、西陣にある船岡温泉です。

大正期に営業を始めた現役の銭湯で、脱衣所と浴場は1923年頃の建築。唐破風の玄関をくぐると、脱衣所の頭上に格天井が広がります。

色鮮やかなマジョリカタイル、欄間に刻まれた「爆弾三勇士」の彫刻など、町の銭湯とは思えないほど装飾が豊かです。

通常の営業時間には入浴の場となる浴室も、建築祭では開店前に公開されます。お湯に入るのではなく、タイルや天井をゆっくり眺める。いつもの銭湯とは違う時間になりそうです。

公開は10月31日(土)10:00~14:00。最終受付は13:30です。

見学には、当日7:00から先着順で発行されるオンライン整理券が必要です。浴室内の床が濡れているため、スリッパを持参するか裸足で見学します。タオル等も持参してください。

同志社女子大学|約20年を隔てた二つの学び舎へ

京都モダン建築祭2026で公開される同志社女子大学今出川キャンパス
前期に公開される同志社女子大学 今出川キャンパス(画像提供:京都モダン建築祭実行委員会)

同じ10月31日に訪ねたいのが、同志社女子大学今出川キャンパスです。

公開されるのは、1914年竣工のジェームズ館と、1932年竣工の栄光館。どちらも武田五一が設計した国登録有形文化財です。

ジェームズ館には宣教師館の趣があり、栄光館には講堂と礼拝堂があります。

二つの建物の間には約20年の時間があります。外観だけでなく、窓、階段、礼拝空間を見比べると、同じ設計者が手がけた建築の違いも探せそうです。

栄光館ファウラーチャペルでは、同志社女子大学出身のオルガニストによるパイプオルガン演奏も行われます。演奏は10:30、12:00、14:00、15:30から。各回約15分です。

公開は10月31日(土)10:00~17:00。事前申込は必要ありません。

武田五一の仕事については、八竹庵(旧川崎家住宅)の紹介記事でも紹介しています。

先斗町歌舞練場|花街に建つ1927年の劇場

鴨川沿いに建つ先斗町歌舞練場の外観
鴨川沿いに建つ先斗町歌舞練場。前期の公開建築のひとつです

11月1日(日)だけ公開されるのが、先斗町歌舞練場です。

鴨川沿いに建つ、先斗町のシンボル。1927年に竣工し、設計は木村得三郎、顧問を武田五一が務めました。

外壁をよく見ると、引っかいたような模様のスクラッチタイルや装飾陶板が使われています。水平線を強調した姿も特徴的です。

普段から外観は見られますが、今回は1階の劇場客席、2階のロビーや休憩室まで公開。外から眺めるだけでは分からない、劇場としての空間に入れます。

公開は11月1日(日)10:30~15:30。最終受付は15:15で、事前申込は不要です。

先斗町歌舞練場を会場とした夏の催しは、京都で舞妓さんと楽しむビアガーデンの記事でも紹介しています。

東本願寺視聴覚ホール|境内の地下にこんな空間が?

東本願寺で見るのは、御影堂や阿弥陀堂だけではありません。

境内の地下には、1998年竣工の東本願寺視聴覚ホールがあります。設計監修は建築家・高松伸です。

地上に並ぶのは、伝統的な寺院建築。一方、地下に現れるのはコンクリートを基調とした現代建築です。金属装飾やトップライトが使われ、同じ境内にいるとは思えないほど雰囲気が変わります。

京都のモダン建築というと、明治や大正期の洋館を思い浮かべるかもしれません。そのイメージを少し広げてくれる一棟です。

公開は10月31日(土)と11月1日(日)の10:00~16:00。事前申込は不要です。

靴を脱ぐ場所があるため、靴下を着用して訪れてください。

後期|11月7日・8日の注目建築

後期の中心は、中京、岡崎、東山、衣笠・北野など。

1903年に完成した教会から、2025年竣工の歌舞練場まで、100年以上にわたる建築の変化を見られます。

宮川町歌舞練場|花街の伝統を受け継ぐ新しい劇場

京都モダン建築祭2026で公開される宮川町歌舞練場
(画像提供:京都モダン建築祭実行委員会/©︎Masaki Hamada(kkpo))

後期に初めて訪ねたいのが、2025年に竣工した宮川町歌舞練場です。

設計は大建設計。建築デザインを隈研吾建築都市設計事務所が監修しました。

新しい建物ですが、旧歌舞練場の記憶も残されています。象徴だった大屋根の形を受け継ぎ、エントランスには大正期の唐破風屋根を復元しました。

公開されるのは、三ツ輪座と花心庵です。

前期に先斗町歌舞練場、後期に宮川町歌舞練場を訪ねれば、1927年の劇場と2025年の劇場を見比べられます。同じ歌舞練場でも、受け継いだものと変わったものが見えてきそうです。

公開は11月7日(土)・8日(日)の10:00~17:00。事前申込は不要です。

京都ハリストス正教会|木造で実現したビザンチン様式

京都モダン建築祭2026で公開される京都ハリストス正教会
後期に公開される京都ハリストス正教会(画像提供:京都モダン建築祭実行委員会)

京都ハリストス正教会は、日本最古のロシア・ビザンチン様式の大型木造聖堂です。

松室重光の実施設計により1901年に着工し、1903年に成聖されました。

鐘楼を備えた端正な外観。内部に入ると、イコンで構成された聖障を中心に、祈りの空間が広がります。

注目したいのは、西洋の教会建築を日本の木造技術で形にしていること。外観、光、装飾がどのようにつながっているのか、その場で確かめられます。

内部は撮影できません。写真に残すのではなく、空間そのものと向き合う時間になりそうです。

公開は11月7日(土)10:00~16:00。最終受付は15:45で、事前申込は不要です。

櫻谷文庫|住まいと洋館、64畳の画室へ

日本画家・木島櫻谷の旧宅、櫻谷文庫も後期に公開されます。

敷地内に残るのは、1913年に建てられた和館、洋館、画室。3棟すべてが京都市指定有形文化財です。

数寄屋造りの和館から、螺旋階段のある木骨煉瓦造の洋館へ。さらに庭を進むと、64畳もの広さをもつ画室が現れます。

画室には洋風のトラス構造と高窓が使われています。大きな作品を描き、弟子を指導するために、どのような空間が必要だったのか。画家の仕事と建築の関係にも目を向けたい場所です。

公開は11月7日(土)・8日(日)の10:00~17:00。最終受付は16:00で、事前申込は不要です。

周辺では、京都府立堂本印象美術館や衣笠会館も公開されます。衣笠・北野エリアで一日を組み立てるのもよさそうです。

当日は整理券、靴下、イヤホンを確認

パスポート公開の多くは事前申込不要ですが、一部ではオンライン整理券が必要です。

整理券は、公開当日の7:00から先着順で受付。取得にはArtStickerへの登録が必要です。船岡温泉などを予定している場合は、事前に登録を済ませておくとスムーズです。

靴を脱いで見学する建築もあります。靴下を着用し、脱ぎ履きしやすい靴を選ぶと回りやすくなります。

また、2026年は無料のオーディオガイドも公開されています。現地で聞く場合はイヤホンを持参してください。

公開時間、最終受付、撮影できる範囲は建築ごとに異なります。当日は公式プログラムで最新情報を確認しましょう。

京都モダン建築祭2026の開催概要

  • 名称:2026年京都モダン建築祭
  • 開催期間:2026年10月31日(土)~11月8日(日)
  • パスポート公開:
    • 前期:10月31日(土)、11月1日(日)
    • 後期:11月7日(土)、8日(日)
  • パスポート公開数:61件
  • 開催エリア:京都市内13エリア
  • 公式サイト:京都モダン建築祭
  • 公式プログラム:パスポート公開建築一覧
  • 公式マップ:2026年ガイドマップ

※公開日時や見学条件は建築ごとに異なります。

まとめ:気になる一棟から始める京都の建築めぐり

61件を前にすると、どこから回るか迷います。

そんなときは、銭湯、劇場、学校、教会など、入ってみたい場所を一つ選ぶところから。そこを軸に、近くの公開建築をつないでいけば、自分なりの一日が見えてきます。

前期と後期では、公開される建築もエリアも異なります。いつも歩いている京都の街にも、まだ入ったことのない空間が見つかるかもしれません。

パスポートの料金や購入方法は、京都モダン建築祭2026の開催概要記事で紹介しています。


※本記事は、京都モダン建築祭公式サイトおよび各施設の公式情報をもとに編集部が構成しました。公開内容は変更される場合があります。最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください。

編集・文:京都のいちばんち/画像提供:京都モダン建築祭実行委員会

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