麓寿庵で名物「華わらび」と抹茶かき氷を実食 登録有形文化財で味わう京都時間

麓寿庵の名物 華わらび きな粉と自家製黒蜜を添えた膳(京都・登録有形文化財の和カフェ)

花を閉じ込めた「華わらび」と夏季限定の「抹茶かき氷」が楽しめる麓寿庵(ろくじゅあん)。日本画家・今尾景年(いまお・けいねん)の旧邸を活用した登録有形文化財で、庭を眺めながら甘味を味わえる和カフェです。

編集部が実際に訪れ、華わらびと抹茶かき氷を実食するとともに、庭や茶室など館内の見どころも取材しました。

目次

麓寿庵の名物「華わらび」 花を閉じ込めたわらび餅

麓寿庵の華わらび 食用花を閉じ込めたわらび餅の寄り(食べる宝石)
透明なわらび餅に食用花を閉じ込めた華わらび。「食べる宝石」とも言いたくなる美しさ。

華わらびは、透明なわらび餅の中にエディブルフラワー(食用花)を閉じ込めた、麓寿庵の看板メニューです。花が浮かぶ姿は、まるで「食べる宝石」。透明な器に映える花の彩りが美しく、思わず写真を撮りたくなりました。

麓寿庵の華わらびときな粉・自家製黒蜜(京都・中京区の和カフェ)
華わらびは、きな粉と自家製黒蜜を添えて。付けても、かけても、そのままでも味わえます。

店の方によると、きな粉と黒蜜は、付けても、かけても、何も付けずそのままでも楽しめるとのこと。まずは何も付けずに味わってみると、甘さは上品で、食感はやわらかくもっちり。エディブルフラワーの種類によっては、花の香りがふわりと広がるものもありました。

華わらびを箸で持ち上げたところ 透ける食用花
華わらびを箸で持ち上げたところ 透ける食用花

続いて自家製の黒蜜を合わせるとコクが加わり、きな粉を付けると香ばしさが広がります。ひと皿で味の変化を楽しめるのも、華わらびの魅力です。

華わらびは単品(1,700円・税込)のほか、抹茶やほうじ茶とのセットも用意されています。

夏季限定の抹茶かき氷 京都産抹茶の風味を楽しめる一杯

麓寿庵の夏季限定 抹茶かき氷 京都産抹茶と白玉・大納言小豆・金箔
庭を望む席に運ばれてきた、夏季限定のかき氷。

抹茶かき氷(1,850円・税込)には、京都産の抹茶を使用。店の方によると、抹茶好きの方はもちろん、抹茶の苦味が苦手な方や海外からのお客様にも楽しんでもらえるよう、抹茶の風味を生かしながら苦くなりすぎない味わいに調整しているそうです。実際に食べてみると、抹茶の香りと風味はしっかり感じられながらも、最後まで食べやすい一杯でした。

抹茶かき氷 白玉と大納言小豆
窓の外の青もみじを眺めながら、ひとさじ。

トッピングには、丹波産の黒豆甘露煮、北海道産の大納言小豆、もちもちの白玉に、食用花と金箔をあしらっています。

もう一つの夏季限定メニューは、京都産ほうじ茶を使った「ほうじ茶かき氷」(1,750円・税込)。別添えの山椒をかけると、ほうじ茶の香ばしさに爽やかな風味が加わるそうです。今回は抹茶を選びましたが、次は山椒を合わせた大人の味わいも楽しんでみたいと思いました。

今尾景年の旧邸で味わう 登録有形文化財の庭と茶室

麓寿庵の魅力は、甘味だけではありません。建物は、南禅寺法堂の天井「蟠龍図」を描いた日本画家・今尾景年の旧邸で、国の登録有形文化財です。

希望者には無料の館内案内も行われており、建物の歴史や見どころを聞きながら席へ案内してもらえます。編集部が訪れた日も、多くのお客様が案内を受けていました。

館内には、今尾景年や弟子の作品、大正時代のガラスやランプなど、当時の趣を今に伝える品々が残されています。

三つの庭を巡りながら歴史に触れる

麓寿庵の主庭 青もみじと縁側(登録有形文化財の日本庭園)
縁側から望む主庭。青もみじの季節は緑が美しい。

館内には三つの庭があります。

正面に広がる主庭は、川の流れを表した庭です。店の方によると、今尾景年が嵐山の保津川を写生し、その風景をもとに庭師が造園したそうです。井戸まわりには、現在では採石が禁止されている希少な鞍馬石も使われています。

麓寿庵の主庭 石臼を再利用したつくばいと柄杓(井戸水が流れる)
竹の樋から、つくばいへ水がそそぐ様子は涼やか。

庭のつくばいは、石臼を再利用したもの。井戸から引いた水が、静かに流れています。青もみじの季節は緑が美しく、雨の日には一層しっとりとした表情を見せます。

麓寿庵の中庭 羅城門の石と伝わるつくばい(京都・登録有形文化財)
すだれ越しに緑がのぞく、小さな中庭。

中庭には、平安京の羅城門を支えたと伝わる石で造られたつくばいがあります。今尾景年は石を集めるのが好きだったそうで、庭には種類の異なる石が点在し、このつくばいもその一つ。店の方の解説を聞くと、建物に込められた歴史をより身近に感じられました。

麓寿庵 奥の庭 石灯籠と苔(唯一入れる紅葉の庭)
館内で唯一足を踏み入れられる奥の庭。和傘を手に、自由に撮影を楽しめます。

奥には、館内で唯一足を踏み入れられる紅葉の庭があります。苔を傷めないよう石の上を歩いて進むと、三つの灯籠と水琴窟が現れます。灯籠のうち中央は、奈良・春日大社にちなむ春日灯籠。壁際には、平安時代のものと伝わる灯籠が横たわっています。耳を澄ませば、水琴窟の澄んだ音色が静かな庭に響いていました。

茶室と大正ガラスに残る当時の趣

麓寿庵 茶室
猿猴捉月にちなんだ茶室

館内には茶室もあります。店の方によると、水面に映る月を取ろうとした猿の物語「猿猴捉月(えんこうそくげつ)」にちなんだ意匠が施されているそうです。

麓寿庵 茶室の柱のこぶ 猿に見立てた意匠
柱に自然にできたこぶは、猿の姿にも。「触れると出世する」と触れられ、艶が出ています。

床の間の柱には、自然にできたこぶがあり、猿の姿にも見えます。

その柱に合わせて、隣の壁には月を表した丸窓が設けられ、猿が月を取ろうとする物語を空間全体で表現しています。以前この建物が料亭として使われていた頃から、「この柱に触れると出世する」ともいわれ、多くの人が触れてきたため、今ではつやつやとした風合いになっています。

麓寿庵の座敷 大正ガラス越しの奥庭
大正時代のガラス越しに望む奥の庭。やわらかな光が差し込みます。

茶室をはじめ、館内の窓には大正時代のガラスが残されています。店の方によると、現在は当時と同じガラスを作る職人はおらず、割れてしまうと再現は難しいそうです。光を受けたガラス越しの景色はわずかに揺らいで見え、そのゆらぎが建物の歴史をより身近に感じさせてくれました。

店舗情報(麓寿庵)

麓寿庵の外観 暖簾のかかる建物(京都・中京区六角)
  • 店名:京都六角 麓寿庵(ろくじゅあん)
  • 住所:〒604-8217 京都府京都市中京区六角通新町西入西六角町101
  • アクセス:地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池駅」から徒歩約6〜7分
  • 営業時間
    • カフェ:月・木・金・土・日 8:00〜21:30/火・水 8:00〜20:00(L.O.19:00)
    • ディナー:月・木・金・土・日 17:00〜19:00/19:30〜21:30(二部制・コース予約制・事前決済)※火・水はディナー休業
  • 予約:公式サイト、予約サイトから予約可能
  • 滞在時間:通常は約1時間15分が目安。混雑時は約1時間で案内される場合があります。
  • 主なメニュー
    • 華わらび 1,700円
    • 華わらびと抹茶 2,000円
    • 華わらびとほうじ茶 1,900円
    • 抹茶かき氷 1,850円
    • ほうじ茶かき氷 1,750円
      ※税込。2026年7月時点。かき氷は9月末頃まで提供予定。
  • 公式サイトhttps://rokujuan.com/
  • 公式Instagram@roku.juan
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