花を閉じ込めた「華わらび」と夏季限定の「抹茶かき氷」が楽しめる麓寿庵(ろくじゅあん)。日本画家・今尾景年(いまお・けいねん)の旧邸を活用した登録有形文化財で、庭を眺めながら甘味を味わえる和カフェです。
編集部が実際に訪れ、華わらびと抹茶かき氷を実食するとともに、庭や茶室など館内の見どころも取材しました。
麓寿庵の名物「華わらび」 花を閉じ込めたわらび餅

華わらびは、透明なわらび餅の中にエディブルフラワー(食用花)を閉じ込めた、麓寿庵の看板メニューです。花が浮かぶ姿は、まるで「食べる宝石」。透明な器に映える花の彩りが美しく、思わず写真を撮りたくなりました。

店の方によると、きな粉と黒蜜は、付けても、かけても、何も付けずそのままでも楽しめるとのこと。まずは何も付けずに味わってみると、甘さは上品で、食感はやわらかくもっちり。エディブルフラワーの種類によっては、花の香りがふわりと広がるものもありました。


続いて自家製の黒蜜を合わせるとコクが加わり、きな粉を付けると香ばしさが広がります。ひと皿で味の変化を楽しめるのも、華わらびの魅力です。
華わらびは単品(1,700円・税込)のほか、抹茶やほうじ茶とのセットも用意されています。
夏季限定の抹茶かき氷 京都産抹茶の風味を楽しめる一杯

抹茶かき氷(1,850円・税込)には、京都産の抹茶を使用。店の方によると、抹茶好きの方はもちろん、抹茶の苦味が苦手な方や海外からのお客様にも楽しんでもらえるよう、抹茶の風味を生かしながら苦くなりすぎない味わいに調整しているそうです。実際に食べてみると、抹茶の香りと風味はしっかり感じられながらも、最後まで食べやすい一杯でした。

トッピングには、丹波産の黒豆甘露煮、北海道産の大納言小豆、もちもちの白玉に、食用花と金箔をあしらっています。
もう一つの夏季限定メニューは、京都産ほうじ茶を使った「ほうじ茶かき氷」(1,750円・税込)。別添えの山椒をかけると、ほうじ茶の香ばしさに爽やかな風味が加わるそうです。今回は抹茶を選びましたが、次は山椒を合わせた大人の味わいも楽しんでみたいと思いました。
今尾景年の旧邸で味わう 登録有形文化財の庭と茶室
麓寿庵の魅力は、甘味だけではありません。建物は、南禅寺法堂の天井「蟠龍図」を描いた日本画家・今尾景年の旧邸で、国の登録有形文化財です。
希望者には無料の館内案内も行われており、建物の歴史や見どころを聞きながら席へ案内してもらえます。編集部が訪れた日も、多くのお客様が案内を受けていました。
館内には、今尾景年や弟子の作品、大正時代のガラスやランプなど、当時の趣を今に伝える品々が残されています。
三つの庭を巡りながら歴史に触れる

館内には三つの庭があります。
正面に広がる主庭は、川の流れを表した庭です。店の方によると、今尾景年が嵐山の保津川を写生し、その風景をもとに庭師が造園したそうです。井戸まわりには、現在では採石が禁止されている希少な鞍馬石も使われています。

庭のつくばいは、石臼を再利用したもの。井戸から引いた水が、静かに流れています。青もみじの季節は緑が美しく、雨の日には一層しっとりとした表情を見せます。

中庭には、平安京の羅城門を支えたと伝わる石で造られたつくばいがあります。今尾景年は石を集めるのが好きだったそうで、庭には種類の異なる石が点在し、このつくばいもその一つ。店の方の解説を聞くと、建物に込められた歴史をより身近に感じられました。

奥には、館内で唯一足を踏み入れられる紅葉の庭があります。苔を傷めないよう石の上を歩いて進むと、三つの灯籠と水琴窟が現れます。灯籠のうち中央は、奈良・春日大社にちなむ春日灯籠。壁際には、平安時代のものと伝わる灯籠が横たわっています。耳を澄ませば、水琴窟の澄んだ音色が静かな庭に響いていました。
茶室と大正ガラスに残る当時の趣

館内には茶室もあります。店の方によると、水面に映る月を取ろうとした猿の物語「猿猴捉月(えんこうそくげつ)」にちなんだ意匠が施されているそうです。

床の間の柱には、自然にできたこぶがあり、猿の姿にも見えます。
その柱に合わせて、隣の壁には月を表した丸窓が設けられ、猿が月を取ろうとする物語を空間全体で表現しています。以前この建物が料亭として使われていた頃から、「この柱に触れると出世する」ともいわれ、多くの人が触れてきたため、今ではつやつやとした風合いになっています。

茶室をはじめ、館内の窓には大正時代のガラスが残されています。店の方によると、現在は当時と同じガラスを作る職人はおらず、割れてしまうと再現は難しいそうです。光を受けたガラス越しの景色はわずかに揺らいで見え、そのゆらぎが建物の歴史をより身近に感じさせてくれました。
店舗情報(麓寿庵)

- 店名:京都六角 麓寿庵(ろくじゅあん)
- 住所:〒604-8217 京都府京都市中京区六角通新町西入西六角町101
- アクセス:地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池駅」から徒歩約6〜7分
- 営業時間
- カフェ:月・木・金・土・日 8:00〜21:30/火・水 8:00〜20:00(L.O.19:00)
- ディナー:月・木・金・土・日 17:00〜19:00/19:30〜21:30(二部制・コース予約制・事前決済)※火・水はディナー休業
- 予約:公式サイト、予約サイトから予約可能
- 滞在時間:通常は約1時間15分が目安。混雑時は約1時間で案内される場合があります。
- 主なメニュー
- 華わらび 1,700円
- 華わらびと抹茶 2,000円
- 華わらびとほうじ茶 1,900円
- 抹茶かき氷 1,850円
- ほうじ茶かき氷 1,750円
※税込。2026年7月時点。かき氷は9月末頃まで提供予定。
- 公式サイト:https://rokujuan.com/
- 公式Instagram:@roku.juan
💡京都のいちばんちメモ

華わらびを目当てに訪れるなら、系列店の乃咫(nota)の存在も覚えておくと便利です。同じ敷地内にある登録有形文化財の蔵を改装した店舗で、2026年7月現在は華わらびも提供しています(※通年提供とは限らないため、事前に店舗へご確認ください)。
店の方によると、麓寿庵が混み合っている際には、乃咫へ案内することもあるそうです。母屋とは異なる落ち着いた雰囲気で過ごせるのも魅力です。
よくある質問(FAQ)
Q. 予約は必要ですか?
A. 予約が中心です。空きがあれば当日来店でも入れることがありますが、確実に入りたい場合は公式サイトや予約サイトからの予約がおすすめです。
Q. 華わらびの花は食べられますか?
A. 食べられます。野菜と同じように育てた食用花を使っており、そのまま味わえます。
Q. 抹茶かき氷はいつまで食べられますか?
A. 夏季限定で、9月末までの提供予定です(※2026年7月時点。最新は店舗へご確認ください)。
Q. アクセスは?
A. 地下鉄「烏丸御池」駅から徒歩約6〜7分です。
まとめ:華わらびと登録有形文化財で過ごす、京都らしいひととき
麓寿庵は、花を閉じ込めた「華わらび」と夏季限定の抹茶かき氷に加え、日本画家・今尾景年の旧邸を生かした登録有形文化財の空間も楽しめる甘味処です。歴史ある落ち着いた空間で、京都らしい時間を過ごしたい方は、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
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※本記事は編集部が実際に訪れて取材・体験した内容をもとに構成しています。最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください。
編集・文・写真:京都のいちばんち

