京都の年越しを象徴する行事のひとつが、八坂神社で行われる「をけら詣り」です。大みそかの夜から元旦未明にかけて行われるこの祭事は、神聖な火を家に持ち帰り、新年の無病息災を祈るという、千年以上続く京都ならではの風習。
本記事では、2025年版の最新情報をもとに、「をけら詣り」の由来や参加方法、注意点までをわかりやすく解説します。
をけら詣りとは?

「をけら詣り」は、京都・祇園の八坂神社で毎年12月31日の夜に行われる年末年始の神事です。
参拝者は「をけら火」と呼ばれる御神火を、吉兆縄(きっちょうなわ)に移し、自宅まで持ち帰ります。この火は一年の穢れを祓い、新しい年を迎えるための清浄な火とされています。

八坂神社の年中行事の中でも、特に多くの参拝者が訪れる行事として知られ、京都の年越し風景を象徴する存在です。

当日は境内や周辺に多くの露店も並び、参拝客でにぎわう中、年の瀬ならではの空気に包まれます。
をけら詣りの由来と意味

をけら詣りが年末の恒例行事として受け継がれていることが伝わる光景です。
「をけら」とは、古来より薬草として用いられてきた植物(白朮)を指します。
この薬草を焚いた火には、邪気を祓い、病を防ぐ力があると信じられてきました。
その火を家に持ち帰り、正月の雑煮を炊く火種にすることで、一年の無病息災を願う——。
をけら詣りは、単なる年末行事ではなく、新年の生活そのものを清めるための通過儀礼として受け継がれてきた祭事です。
2025年をけら詣りの開催情報

- 日時: 2025年12月31日(水)〜 2026年1月1日(木)
- 場所: 八坂神社(京都府京都市東山区祇園町北側625)
- 当日の主な流れ:
- 大祓式: 15:00〜
- 除夜祭: 19:00〜
- をけら詣り: 19:30頃〜翌5:00頃
- アクセス:市バス206「祇園」下車すぐ、京阪電車「祇園四条駅」から徒歩約5分
をけら詣りの参加方法

- 八坂神社の本殿で礼拝を行いましょう
- 境内で吉兆縄を購入します(価格は例年700円程度)。
- 除夜祭後、境内の数か所に設けられる「白朮火授興所」(をけらびじゅこうしょ)の白朮灯篭(をけらとうろう)に移された御神火を待ちます。
- 購入した吉兆縄に「をけら灯篭」の火を移します。
- 火を消さないように吉兆縄をくるくると回しながら歩きます。
- 自宅まで持ち帰る場合は、火を消さないよう注意しながら帰宅。
- 持ち帰った火は、無病息災を祈願して神前の灯明や正月の雑煮を炊く火種として使用します。
- 燃え残った火縄は火伏せ(火難除け)のお守りとして台所に祀ります。
をけら火は公共交通機関に持ち込めないので要注意!

をけら火をつけたまま電車・バスなど公共交通機関への持ち込みは禁止されています。
八坂神社境内には、火を消すための水桶が設置されており、
- 火を消して縄だけを持ち帰る
- 徒歩圏内の宿泊先まで歩いて帰る
といった選択が可能です。
自宅まで火を持ち帰りたい場合は、徒歩での移動を前提に計画しましょう。
参加時の注意点
- 火を扱うため安全には十分注意し、周囲の人々や環境に配慮しましょう。
- 深夜から未明にかけての参拝となるため、防寒対策は必須です。
- をけら詣りは雨天決行ですが、雨や風が強い場合は火が消えやすくなります。
傘の差し方を工夫したり、吉兆縄をこまめに回すなど、状況に応じた対応が必要です。 - 境内や周辺のトイレは混雑しやすいため、比較的利用しやすい丸山公園の公衆トイレや祇園四条駅のトイレを検討するのも一案です。
開催時間や授与方法などの最新情報は、八坂神社公式サイトをご確認ください。
まとめ:火と祈りで迎える、京都ならではの年越し

八坂神社の「をけら詣り」は、にぎやかな初詣とは少し違い、火を守りながら歩く時間そのものが、新年への準備になるような行事です。
露店が並ぶ境内のにぎわいの中にも、どこか張りつめた空気があり、くるくると吉兆縄を回す所作に、京都らしい年越しのかたちが感じられます。
一年の終わりに火を分けていただき、静かに新年を迎える——。
観光として訪れる方にとっても、京都で暮らす人にとっても、「今年も無事に終わったな」と、ふと立ち止まれる時間になるはずです。
<参考文献・出典>
- 八坂神社 公式サイト(年中行事・をけら詣り)
https://www.yasaka-jinja.or.jp - 京都市観光協会(京都観光Navi)年末年始行事情報
※本記事は編集部が取材・調査した情報をもとに構成しています。最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください。京都観光の予定にあわせて、ぜひ参考にしてみてください。
編集・文・撮影:京都のいちばんち

