【体験レポ】この先いけずな京町家|いけずは京都ならではの高度なコミュニケーションだった…!※一部ネタバレあり

京都の老舗扇子屋「大西常商店」にて開催される「この先いけずな京町家」の内覧会に参加。

築150年の京町家で繰り広げられる「いけず」体験は、予想以上に奥が深く、京都文化の真髄に触れる貴重な経験となりました。

※一部“ネタバレあり”で参加時の様子をレポートしています。事前情報一切無しで臨みたい方は、開催概要までの閲覧をおすすめします。

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目次

この先いけずな京町家とは?

築150年の本物の京町家を舞台に、京都特有の遠回しな言い回しや言葉の裏に隠された本音を読み解く、まさに”生きたいけず文化”を体験できるイベント。

参加者は最大4人1組のグループとなり、「いけず女将」を演じる生粋の京都人、大西常商店4代目の大西里枝さんとのやりとりを通じて、京都独特のコミュニケーション術を学びます。

イベントの流れ

  1. 参加者は案内人の指示に従って京町家を訪問。
  2. 「いけず女将」との会話を通じて、言葉の裏に隠された本音を読み解く。
  3. 誤って読み取ると、女将からぶぶ漬けを勧められ(※)、もう一度やり直しとなる。
  4. 「ぶぶ漬けでもどうどうすか?」と言われないよう、参加者同士で適切な対応を相談。
  5. 正しく対応できれば、京町家の奥へと進める。
  6. 制限時間1時間以内に、全5回までのやり直し可能回数の中で、全ての「いけず」を読み解き、女将からの信頼を得ることができればクリア!

※「ぶぶ漬けでもどうどうすか?」は「もうお帰りください」という意味

いざ体験!(ここから一部ネタバレありです)

1. 女将との初対面

まずは、スタッフの方からイベントのプロローグが語られます。

(このプロローグ、しっかり聞いておいた方が◎。クリアのための大きな手がかりがありました)

そして、“いつ女将に渡すかは参加者にお任せ”という手土産を預かり、“女将との約束の時間丁度”であることを告げられ、いざスタート。

参加者は良きタイミングで女将を訪ねます。(訪問タイミングは参加者側で決めることができます)

玄関をノックすると、女将の優しい「どうぞ」の声。

大西常商店4代目の大西里枝さんが演じる「いけず女将」の凛とした佇まいに、早くも緊張感が走ります。

穏やかな表情の裏に隠された「いけず」の精神を見抜くことができるのか…!挑戦が始まります!

2. いけずとの格闘

「いけず」シーンは、予想以上に難解でした。

玄関先に並べられているスリッパ。

女将からは「靴下汚れへん?どうぞ」と勧められたのですが、畳の上で履いていいものかどうか迷って履かずにいたところで「ぶぶ漬けでもどうどすか?」と言われてしまい、一回目の失敗。

「ぶぶ漬けでも…」と言われた理由は教えてもらえません。

一旦スタート地点まで戻って、本音を汲み取れなかった理由を参加者同士で話し合います。

再挑戦して正しい対応ができると、女将の表情が和らぎ、次なる部屋へと案内されます。

3. 深まる「いけず」の謎

先に進めた!と喜んだのも束の間、女将と会話をする中で、いきなり言われたぶぶ漬けの勧め。

何を見落としたのか…。

手土産を渡すタイミング?いや、どうやら、会話の中に出てきた“とある商品”に対するリアクションがまずかったのでは…?

などなど、女将との会話を思い出しながら、参加者同士で議論を巡らせます。

気がづくと、あっという間に30分が経過。(制限時間は1時間)

女将の会話を聞き逃すまいとする緊張と、ぶぶ漬けを勧められたくないという恐怖とで、もはや何を聞いても「いけず」に聞こえてしまいます。

4. 3度目ならぬ5度目の正直

そして、なんとか奥の茶室まで進んだところで、最難解な「いけず」が待っていました。

(最後の茶室の「いけず」はぜひネタバレなしで体験してください!)

5回目の挑戦で、最後の「いけず」を読み解くことができ無事クリア!

まさかこんなに難しいとは…。

緊張と恐怖からの開放で、なんとも言えない疲労感は感じつつ、一緒にクリアできた参加者と達成感を味わうことができました。

「いけず」の奥深さを実感

終わってみればあっという間。

京都の「いけず文化」を体験的に学べただけでなく、コミュニケーションの奥深さや言葉の持つ力を再認識する貴重な機会となりました。

また、イベント中、参加者と協力しながら進む感覚も楽しい体験でした。

同じグループで参加された方同士、多様な視点を話し合えて、とてもいい刺激になるのではないでしょうか。

そして何より、「いけず」は単なる意地悪ではなく、相手との関係性を維持しながら意思を伝える高度なコミュニケーション術だということを強く感じました。

「いけず」を新たな観光資源に

コースター表面(ぶぶ漬けを勧める笑顔の女将)
コースター裏面(こっちが本音)

イベントを企画した「ない株式会社」の岡代表や、「いけず女将」を演じた大西さんは、

『いけず』は京都の文化の一つ。嫌味なく自分の言いたいことをオブラートに包んで渡すという面白いコミュニケーションの文化だと思っている。観光都市である京都にあって、まだ見つかってない観光資源としての可能性を「いけず」に感じ、本イベントの企画に至ったとコメント。

(普段の大西さんは優しい笑顔が印象的な女将さん。そして京都を愛する素敵な方でした!)

「この先いけずな京町家」は、京都の生きた「いけず」を体験できる新しい試みとして、大きな反響を呼ぶこと間違いなし!

今回のイベント開催分は完売していますが、今後も「いけず」を新たな観光資源にできるようなコンテンツを検討していきたいとのこと。

期待して待ちましょう!

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