京都・右京区の世界遺産 仁和寺 では、名勝「御室桜」の観賞用デッキが新設され、2026年3月27日から始まる「御室花まつり」で一般公開されています。
あわせて、老齢化が進む桜を次世代へつなぐ取り組みとして、住友林業 による新プロジェクトも発表されました。
観賞体験の向上と、文化財としての継承。その両立を目指す新たな取り組みが、京都の春に動き出しています。
御室桜を“上から眺める”新たな観賞体験

新設された観賞用デッキは、全長約56メートル、面積約230㎡にわたって整備されています。デッキ上を歩きながら、御室桜を上から眺めることができる構造です。
御室桜は人の背丈ほどの高さで咲く低木の桜として知られ、これまでは目線の高さで楽しむ桜として親しまれてきました。今回のデッキ整備により、視線の下に広がる桜を楽しむという新たな鑑賞体験が加わっています。

また、デッキからは観音堂や五重塔を見渡すことができ、境内の景観を立体的に楽しめる点も特徴です。スロープも設けられており、幅広い来訪者が利用しやすい設計となっています。
樹齢360年超の御室桜が直面する課題

御室桜は江戸時代初期(1646年頃)の植栽と伝えられ、現在は約215本が境内に残っています。遅咲きで低木という特徴から、人の目線で花見ができる桜として知られ、京都の春の終盤を彩る存在です。


一方で、樹齢は360年を超えると推測され、近年は老齢化や猛暑などの影響により樹勢の衰えが課題となっています。仁和寺では、御室桜の継承を重要なテーマとして取り組みを進めています。
クローン技術で進む“桜の未来づくり”

こうした課題に対し、住友林業 は組織培養技術を活用した「桜のたすき」プロジェクトを発足しました。衰弱や枯死の危機にある名木を次世代へ継承することを目的とした取り組みです。

御室桜では、2010年に組織培養による増殖に成功しており、境内にはすでにクローン桜が1本植えられています。今後は、老齢化によって枯れた個体から順次、後継樹へと植え替えを進めていく方針で、10年から20年単位で段階的に更新していくとされています。

一度に置き換えるのではなく、景観を維持しながら更新を重ねることで、御室桜の特徴を保ちながら次世代へつないでいく考えです。
「御室花まつり」は3月27日開幕 4月中旬に見頃へ

「御室花まつり」は3月27日から開催されています。境内ではまずソメイヨシノが今週末から来週にかけて見頃を迎え、その後、4月10日頃に御室桜が開花、4月中旬にかけて見頃を迎える見込みです(寺院関係者による)。
御室桜は京都市内の桜シーズンが一段落した後に咲く遅咲きの桜として知られ、昨年は約9万人、多い年には10万人を超える来場者が訪れるなど、京都の春を代表する行事のひとつとなっています。
また、三つ葉ツツジ、陽光桜、ソメイヨシノ、御室桜、八重桜、御衣黄、青紅葉や石楠花と、境内では順に花の見頃が移り変わり、長い期間にわたって楽しめるのも特徴です。
御室花まつり 概要
- 開催期間:2026年3月27日(金)〜5月6日(水・祝)
- 時間:8時30分〜17時30分(最終受付 17時)
- 会場:仁和寺 境内(名勝御室桜エリアほか)
- 特別入山料:大人800円(御所庭園との共通券1,400円)高校生以下無料
- アクセス:京福電車 御室仁和寺下車 徒歩約3分/市バス・JRバス 御室仁和寺下車すぐ
- 公式サイト:https://ninnaji.jp/
まとめ:御室桜を未来へつなぐ新たな取り組み
観賞用デッキの整備により、御室桜はこれまでとは異なる視点で楽しめるようになりました。一方で、組織培養技術による継承の取り組みは、文化財としての桜を守るための重要な動きでもあります。
観光と保存の両立を図りながら、御室桜の魅力を次世代へつないでいく取り組みが進められています。
※本記事は編集部が取材した情報をもとに構成しています。最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください。京都観光の予定にあわせて、ぜひ参考にしてみてください。
編集・文・写真:京都のいちばんち

