CHOYA shopsが運営する梅体験専門店「蝶矢」は6月11日、インバウンド特化型店舗となる京都三条店を京都三条河原町にオープンします。
6月11日“梅酒の日”にオープンを控え、内覧会が開催されるとのことで、ひと足先にその魅力を体験してきました。
梅文化を世界へ伝える——そんな想いが詰まった、新たな京都の注目スポットをご紹介します。
店舗概要|梅体験専門店「蝶矢」京都三条店とは

「蝶矢」京都三条店では、厳選された梅を使用し、自分だけのオリジナル梅シロップや梅酒を作れる体験を提供。
日本の伝統文化に根付く「梅」の奥深さを、梅コンシェルジュによるワークショップを通じて学ぶことができます。
- 店舗名:梅体験専門店「蝶矢」京都三条店
- 住所:京都府京都市中京区三条通河原町東入中島町87番地
- 営業時間:10時~19時
- 休業日:年末年始12/30-1/3
- 料金:「梅シロップ」4,900円(税込)、「梅酒」5,900円(税込)
- 料金には、体験キット(ボトル、梅、お砂糖、こぼれないキャップ、※梅酒の場合は、お酒)が含まれます。
- 予約:要予約 ※空きがあれば当日でも参加可能
- 公式サイト:https://choyaume.jp/pages/kyoto_sanjo
- アクセス:三条駅(京阪線)徒歩3分、河原町駅(阪急線)徒歩9分、三条京阪駅(地下鉄東西線)徒歩5分
洗練された「体験の場」

店内に足を踏み入れると、白と白木を基調に、和の伝統とモダンが融合した、シンプルで洗練された空間が広がります。清潔感にもあふれ、心地よい雰囲気です。

最大10名が座れるコの字型のカウンター席では、梅コンシェルジュの案内のもと、実際に梅シロップや梅酒づくりを体験することができます。
英語対応の体験型スポット
この新店舗の大きな特徴は、体験全体を“英語で”提供している点。

(画像提供:CHOYA shops株式会社)
英語で伝える梅文化
これまでの京都六角店および鎌倉店とは異なり、英語を基本言語とした環境で、海外からの来店客に向けて梅文化の魅力をダイレクトに伝える新拠点としてオープンします。

店内の対応と言語設計
店内の案内やメニューは英語表記を基本とし、スタッフ全員が英語で接客。多言語対応のパンフレットなどを用意し、体験では、チョーヤの歴史や「梅とは?」「梅酒とは?」といった基礎知識を含めたガイドを行うなど、日本の梅文化をより深く伝える工夫がなされています。
インバウンド対応の予約・サポート体制

(画像提供:CHOYA shops株式会社)
多言語対応かつ事前決済が可能な予約システムを導入し、訪日前からスムーズに予約を進められるよう2カ月前から予約を受け付けており、多言語対応のカスタマーサポートでアフターサポートも充実しています。
海外への持ち帰りにも対応する工夫

さらに、海外からの利用者を見据えて、飛行機での持ち帰りにも配慮した工夫が施されています。専用のボトルにはシリコン製の密封キャップが用意され、体験後には専用BOXに入れて安全に梱包。航空機の預け荷物としても安心して持ち帰ることができるよう案内されています。
いざ体験!選ぶ楽しさと味の発見

実際のワークショップを体験させていただきました。
100通り以上の組み合わせから選ぶ

体験は、好みの梅・お砂糖・(梅酒の場合は)お酒を選ぶところから始まります。
筆者は今回、梅酒を選択。
梅5種、お砂糖5種、お酒4種の中から好みのものを選び、100通り以上の組み合わせで手作り体験が可能です。

まずは、カウンターに並ぶ5種の梅を見ながら、それぞれの味をテイスティング。5種それぞれが本当に美味しくて、甘さが際立つもの、すっきりした味わい、バナナのような柔らかい風味、アセロラを思わせる甘酸っぱさなど、個性がはっきりしており、どれにしようか迷ってしまいます。

次に、お砂糖の特徴やお酒の種類について説明があります。
今回のメディア向けワークショップも、実際の体験同様に英語で進行されたため、英語が得意ではない筆者にとっては少し難しい場面もありましたが、パンフレットに丁寧な日本語の説明が記載されていたため、安心して参加できました。

いよいよ選択の時!

(画像提供:CHOYA shops株式会社)
CHOYAを代表する梅は『完熟南高(かんじゅくなんこう)』とのことですが、すっきりした味わいが好きな筆者は、ちょっと冒険して『白加賀(しろかが)』を選んでみました。

(画像提供:CHOYA shops株式会社)
お砂糖は、見た目の可愛さで人気No.1という「こんぺい糖」に惹かれつつも、「白加賀」との相性が良いと教えていただき、「てんさい糖」を選びました。

お酒は、梅本来の風味を引き立ててくれるという「ウォッカ」を選択し、体験用の「My Bottle Sheet」に記入します。

その内容に沿って、スタッフの方が必要な素材を用意してくれます。

見た目の可愛らしさと甘さのバランスから、最も人気があるのは「完熟南高梅 × こんぺい糖」の組み合わせとのことですが、筆者はあえて渋めのチョイスに。
大人の味わいに仕上がることを期待しています!

ちなみに、既存店では海外からの来店者に特に人気なのが「完熟南高梅 × 氷砂糖」というクラシックな組み合わせ。
また、視覚的な楽しさから「完熟南高梅 × こんぺい糖」も好評とのこと。
今後は、各国の嗜好に合わせた“新たな人気レシピ”が生まれるかもしれません!
さらに、既存店での傾向として、海外のお客様は圧倒的に梅酒を選ぶ人が多いそうです。
日本人はおおよそ、梅酒7割・梅シロップ3割という割合とのこと。
お酒好きな海外の方には、特におすすめしたい体験スポットです。
手づくりの工程も楽しい
作る工程は至って簡単な3ステップ。

まずは梅のヘタを取ります。凍った梅を触るので少し冷たいですが、より美味しく仕上げるための大切な工程です。
梅の種類によってはヘタが取りにくいこともありますが、無理をしなくても大丈夫とのこと。

次に梅とお砂糖を交互に専用ボトルに詰めていきます。そして最後にお酒を注ぎます。

選んだ素材を自分の手でボトルに詰めていく工程は、まるで理科の実験のような楽しさがありました。

密封キャップで蓋をして、専用BOXに詰めたら完成!
完成したマイ梅酒は、自宅で約1ヶ月の熟成を経て飲み頃に。
毎日眺めて過ごす時間もまた、楽しみのひとつです。
なお、シリコンキャップは帰国まで外さずに使用し、2週間の攪拌期間が過ぎたら通常の蓋に付け替えることで、熟成がよりスムーズに進むそうです。
新感覚テイクアウトドリンクも体験!

体験の最後に、梅シロップのテイクアウトドリンクもいただきました。
大粒の完熟南高梅の実がまるごと入ったドリンクは、非加熱の梅シロップをベースに、ソーダ、水、緑茶、紅茶などで割って楽しめます。
今回は、「梅ソーダ」をチョイス。梅の実をストローで軽くクラッシュすると、甘酸っぱさがじんわりと広がり、飲むごとに味の変化を楽しめる新感覚の1杯でした。
これから暑くなる季節にぴったりで、観光の合間のリフレッシュにも最適です。
HOTは450円、ICEは550円で提供されています。
インタビューで聞いた、梅文化の継承と未来への取り組み

「文化が消えていく危機感」から始まった挑戦
株式会社CHOYA shops 代表取締役の菅 健太郎さんは語ります。
「梅というのは2000年前に中国から伝わり、日本では食用にならない実を、干したり、塩や砂糖に漬けたり、酢に浸けたりして、おいしく食べるための工夫が発展してきました。これは、日本人の知恵が育んだ独自の食文化です」
しかし、昭和の時代に当たり前だった「家庭で梅を漬ける」文化は、後継者不足や手づくり離れにより年々衰退。
「このままでは文化ごと消えてしまう。梅が不要になれば、我々CHOYAグループの存在意義も失われてしまう——。そんな危機感からこの事業を始めたのです」
海外展開に向けたグローバル戦略
“文化を守るためには、形を変える必要がある”。その考えのもと、菅さんは3つの変革を打ち出しました。
- 販売単位の改革
→ 1kgから1個へ、小ロットでも購入・体験できる仕組みを整備 - 特殊冷凍による通年体験
→ 完熟梅を収穫直後に-40℃で急速冷凍し、1年中楽しめる環境を整備 - 100通り以上の組み合わせ体験
→ 素材を自由に選べることで、“自分だけの梅酒”がつくれる楽しさを演出
海外に伝える“第二段階”が、京都三条店で本格スタート
今回の京都三条店は、インバウンド客を対象とした“第二段階”に位置づけられています。
「梅酒の“Umeshu”という言葉自体、海外ではまだ認知されていません。欧米では“プラムワイン?”と聞かれることもあります。でも梅とプラムは違う。だからこそ、私たちが正しく伝えていかなければならないんです」
「次は世界へ」——台湾・シンガポールを皮切りに
CHOYAの長期ビジョンには、梅文化の“輸出”=第三段階が据えられています。
現地ではCHOYAブランドの認知度も高く、酒類規制も緩やかで展開がしやすいという利点も。
店長・河内さんが語る現場の手応え
「英語でのガイドだからこそ、外国のお客様からも自然に質問が出てくるようになりました。これまで日本語の案内では質問を控えていた外国人客から、積極的な発言や反応が増えたと思います。」
質問が増え会話が活発になることで、国籍ごとに人気の組み合わせや意外な発見が次々と生まれ、梅体験を通した「文化の交差点」としての可能性を感じさせてくれます。
今後は多言語展開も視野に
現在は英語でのガイドが基本となっていますが、今後は中国語・韓国語など、多言語対応の拡大も視野に入れているとのこと。体験プログラムの国際展開が進むことで、梅文化が世界中に広がっていくきっかけになりそうです。
【まとめ】京都の真ん中で、梅文化を世界へ

蝶矢 京都三条店は、日本の梅文化を「体験」として発信する新しい拠点です。
英語対応のワークショップやインバウンド向けの設計により、文化を“学ぶ”だけでなく、“味わう”ことで記憶に残す仕掛けが随所にちりばめられていました。
英語を通じて、文化を伝え、会話が生まれ、体験が記憶に残る——。
そんな場所が、京都の真ん中にまたひとつ増えたことは、観光都市・京都にとっても大きな意義があると感じました。
単なる梅酒・梅シロップ作り体験にとどまらず、国や文化を越えて会話が生まれる空間として、京都の新たな観光資源になりそうです。

文・撮影:京都のいちばんち編集部