※2025年9月30日更新
アート×テクノロジーで世界的に注目を集めるチームラボ(teamLab)が、2025年10月7日(火)、京都駅東南部エリアに新たな常設型アートミュージアムを開業します。施設名は《チームラボ バイオヴォルテックス 京都(teamLab Botanical Vortex Kyoto)》。
場所は京都市南区、京都駅近くの再開発エリア。京都市が推進する「創造・発信拠点」構想の一環として整備されるこの施設は、秋の京都観光の新定番となること間違いなしです。
最新情報:2025年9月、メディア向けに全作品の展示構成が公開されました。編集部も実際に体験取材を行い、展示の全貌やお土産体験を追加レポートします。
👉 第一弾で公開された様子は、チームラボ京都 第一弾内覧会レポートもあわせてご覧ください。
体験型アートの最前線へ|チームラボとは?
チームラボは、光・音・空間を駆使して、観客が身体ごと没入できるインタラクティブアートを展開する日本発のアート集団。お台場や豊洲をはじめ、世界中に常設・巡回展示を行い、“認識の再定義”をテーマに訪れる人の知覚に揺さぶりをかける体験を生み出してきました。
今回の新施設「バイオヴォルテックス 京都」では、新作・日本未公開作品を含む50以上の作品群が集結。国内最大規模のチームラボ常設館として、国内外から大きな注目を集めています。
公開済みの注目作品(一部・第一弾内覧時点)
2025年8月に開催された第一弾の内覧会では、全体の約10%が先行公開されました。その様子は、以下の記事で詳しく紹介しています。
👉 チームラボ京都 第一弾内覧レポートを読む


- Massless Amorphous Sculpture:泡と光の秩序によって生まれる浮遊彫刻。物体の概念を超えた“存在”を問う作品。
- Morphing Continuum:球体が秩序的に動き出し、エネルギーの流れを生み出す作品。生命のうねりのような力を体感できます。



- Silent Radiance Within:杜若などの花が来場者の動きに反応して散り、新たな命が芽吹く。生と死の循環を感じさせる京都らしい哲学的な作品です。
- The Eternal Universe of Words(鳥道):数十万羽の鳥が群れを成すように飛ぶ映像空間。万華鏡のような没入感と、祈りのような響きが空間全体を包みます。
- 呼応するランプの森:無数のランプが立ち並ぶ空間で、人が立ち止まると最も近いランプが強く輝き、その光が次々と連鎖していく作品。 ランプの配置は数学的に導き出されたもので、一筆書きのようにすべてのランプを一度ずつ通る光の軌跡が描かれます。 四季の色彩を反映した複雑な色合いが重なり合い、鑑賞者の動きと他者の光が交錯することで、常に新しい景色が生まれます。
会場全体の回遊ルートと見どころ
9月のメディア内覧会で、館内の全体構成が明らかになりました。フロアは大きく以下の4エリアで構成され、没入体験が連続する動線設計です。
- Underground(アンダーグラウンド)
- Sculpture and Painting(スカルプチャー アンド ペインティング)
- Megaliths(メガリス)
- Athletics Forest(アスレチック フォレスト/「運動の森」)
アート作品の注目作 ― 9月全体公開で初お披露目
メガリス / Megaliths

巨大な石柱が立ち並ぶ作品。時間帯によっては「雨の儚い結晶」として雨が降る仕掛けにも遭遇できます。


柱の周りには本物の苔が育ち、本物であるが故に、自然の変化によってきのこが生えることもあるそう。デジタル表現と自然環境が共存する空間です。
呼応する小宇宙 – 固形化された光の色

無数の光の球体が浮かぶ空間。人が球体を押すと、その光を強く輝かせ音色を響かせ光が音が鳴り、隣の球体へと次々に連続して伝わっていきます。

個々の光が互いに呼応し合うことで、小宇宙のようなつながりを生み出すインスタレーションです。
流れははるか遠くに

人の動きによって流れが生まれ、その流れが混じり合い渦をつくり、空間全体へと広がっていきます。人が止まると流れは消え、何も存在しなくなります。

粒子の軌跡による線が「超主観空間」として描かれ、音楽も周囲の作品と連動して再構成されるのが特徴です。
追われるカラス、追うカラスも追われるカラス

空間の入口付近中央に立って鑑賞する作品。黒いカラスの群れが縦横無尽に飛び交い、互いに追いかけ合う姿が描かれます。
壁と床の境界がなくなり現実空間が消え、カラスの軌跡が線となり、光の残像が三次元の軌道となって広がっていきます。ダイナミックで迫力のある映像体験が楽しめますが、空間全体が常に動いているため、酔いやすい方は注意が必要です。
運動の森 ― 身体で世界を考える空間
イロトリドリのエアリアルクライミング

空中に吊られた棒を伝い渡る立体的アスレチック。落ちないように挑戦する過程で、バランス感覚や空間認識力が自然と刺激されます。
マルチジャンピング宇宙

伸縮する床で、普段より高く飛び跳ねることができる体験型作品。自分の動きが空間にどのような影響を与えるかを体感できます。
インビジブルな世界のバランス飛石

飛石に乗ると音や色が変化し、小さな生命の世界につながります。足元から広がる視覚・聴覚体験が、全身の感覚を刺激します。
あおむしハウスの高速回転跳ね球

高速で回転する球体が、人が近づくと止まり、踏むことで跳ねることができます。 同じ色の球体を連続して踏むと球体の中が弾けて空間に広がり、さらに進めばあおむしが誕生。最後まで同じ色を跳び続けると、空間中の球体がすべて弾け、多数のあおむしが生まれるダイナミックな体験が楽しめます。
グラフィティネイチャー / Graffiti Nature

紙に描いた生き物が空間に現れ、互いに食べたり食べられたりしながら生態系をつくる作品。人が立ち止まると花が咲き、歩くと散るなど、人間の行動も環境に作用していきます。
「運動の森」は、猪子寿之代表が語る「世界を身体で認識し、立体的に考える」という思想がそのまま実装された空間。子どもは遊びながら創造的思考を養い、大人は身体感覚を呼び覚ます挑戦を楽しめます。
学ぶ!未来の遊園地 ― 共創の体験
こびとが住まうテーブル・壁・宇宙の窓

「こびとが住まう」シリーズは、日常の空間に小さな住人たちが現れるインタラクティブ作品群です。 テーブルの上に手や物を置けばこびとたちが集まり、壁にスタンプを押せば世界が音楽を奏で、光の窓に線を描けば色ごとに不思議な力が働きます。

置いた物に反応して、こびとたちが駆け寄ってきます。

どの作品も、身近な物理法則や作用を遊びの中で自然に体験でき、他者と一緒に世界を変化させる楽しさを味わえます。
スケッチオーシャン / Sketch Ocean

魚の輪郭が描かれた紙に自由に色を塗ります。そしてその魚の絵をスキャンすると、その魚がデジタルの海に現れ、泳ぎ出す作品。触れると魚たちは一斉に逃げたり、エサ袋に触れると群れになって集まるなど、まるで本物のような反応を見せます。


特に、回遊魚であるマグロは、京都の海から飛び出して、世界各地の「スケッチオーシャン」とつながる仕組みになっています。別会場で描かれたマグロが京都に現れることも。

久しぶりにクレヨンを握った筆者自身も夢中になった体験でした。自分の絵が作品の一部として動き出し、さらに世界とリンクする――子どもも大人も夢中になれるはず。
スケッチファクトリーで世界にひとつだけのお土産づくり

展示を思う存分体感した後にぜひ訪れたいのが、スケッチファクトリー。
《スケッチオーシャン》や《グラフィティネイチャー》で描いた生き物をスキャンし、缶バッジやTシャツ、トートバッグなどにして持ち帰れる工房です。
ラインアップは以下の通り(いずれも税込、目安の制作時間)。
- 缶バッジ:600円(約5分)
- マグネット:600円(約5分)
- ハンドタオル:1,500円(約15分)
- Tシャツ:3,000〜4,000円(約15分)
- トートバッグ:3,000円(約15分)
- ペーパークラフト:800円(約10分)
- パズル:1,000〜1,200円(約15分)

さらに、チームラボ京都から新たに登場したのが、ジグソーパズル。自分が描いた魚や生き物がパズルのピースとなり、世界に一つだけのオリジナルお土産が完成します。手元に残るのは、まるで体験を持ち帰るような特別感がありました。
『学ぶ!未来の遊園地』は「共創(共同的な創造性)」をテーマにした教育的プロジェクト。自由な発想を持ち寄り、他者と協力しながら新しい世界を創る体験ができます。
所要時間は3〜4時間以上?編集部が体験レポ
まず圧倒されるのは、作品数の多さと空間全体の没入感です。すべてを見て回るには、おおよそ3〜4時間は必要だと感じました。今回の内覧会では、スタッフの説明を受けながら各所を回って約2時間。それでも駆け足の印象があり、体験型の展示が多いことを考えると、しっかり楽しみたい方は半日ほど時間を確保しておくのがおすすめです。
また、写真や動画では伝えきれない「全身で入り込む感覚」がありました。マップを配布せず、自分で次の空間を探しながら進む“探索型”の動線は、思わぬ作品との出会いをより印象的にしてくれます。アートを「鑑賞する」だけでなく、「遊び」「学ぶ」場としても機能しており、大人も子どもも自然と夢中になれる空間でした。
アクセス抜群の立地、再開発で注目の京都駅東南部エリア
本施設が建設されるのは京都駅八条口エリア(南区)の市有地。京都市と地元企業が共同で推進する再開発プロジェクトにおいて、文化芸術と若者を基軸とした街づくりが掲げられています。
京都駅から徒歩圏という立地は、観光の動線と直結。紅葉シーズンや夜観光との相性も良好です。
チームラボ バイオヴォルテックス京都の基本情報

- 開館日:2025年10月7日(火)〜 常設
- 開館時間:9:00〜21:00(最終入館 19:30)※変更の可能性あり
- 休館日:10/21(火)、11/4(火)、11/18(火)、12/2(火)、12/16(火)ほか(最新は公式で確認)
- 所在地:京都市南区東九条東岩本町21-5
チケット販売について
一般公開に向けたチケット販売が8月5日(火)よりスタートしています。
価格や予約サイトは以下の通りです。(すべて税込・事前日時指定制)
- 大人(18歳以上):3,400円〜(変動制)
- 中学生・高校生:2,800円
- 子ども(4〜12歳):1,800円
- 3歳以下:無料
- 障がい者割引:大人料金の半額
- フレキシブルパス(来場日のみ指定・時間自由):12,000円
※現地購入は+200円/大人・障がい者価格は日ごとに変動
まとめ:全作品公開で“京都の新定番”が完成
2025年10月7日、京都駅前に誕生する「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」。全作品の公開により、その全貌が明らかになりました。没入型展示に加え、オリジナルお土産体験まで用意された新拠点は、京都観光の新しい必訪スポットとして大きな期待を集めています。
参考文献
※本記事はプレスリリースおよび編集部の取材体験をもとに再構成しました。最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください。京都観光の予定にあわせて、ぜひ参考にしてみてください。
編集・文・写真:京都のいちばんち